感覚統合とは?

皆様、こんにちは。

東京都あきる野市にあります生活介護笑スリーの佐藤です。

このブログを記入している今日は12/25、クリスマスです🎄

クリスマスが終わると年の瀬、今年も終わりです。

笑スリーは今年にオープンして、おかげさまで多くの体験ご利用者を受け入れることができました。

振返ってみると体験にいらしたご利用者様は皆様とても個性的で、職員一同良い経験を積む機会を得ることができました。

この場を借りて感謝を申し上げます。

 

さて、今回は感覚統合をテーマにしてお話をしていきたいと思います。

 

感覚統合とは?

発達障害者・発達障碍児に関わる仕事をしているとしばしばイヤーマフを着用している方や自分で自分を傷つける行動が見られる方をお見掛けします。

これはもしかしたら様々な感覚が正常に発達していないことが原因で起こっている行動かもしれません。

そこで、感覚の発達を知る時に重要な概念が「感覚統合」です。

 

感覚統合という言葉は療育や放課後デイサービスではよく聞かれる言葉です。

人の脳は生まれた段階ではまだまだ不完全な状態です。

成長するにつれて脳も完成していくのですが、この成長の段階で様々な感覚を司る機能も発達していきます。

感覚にはいくつかの分類があります。

  • 視覚:見る感覚
  • 聴覚:音を聞く感覚
  • 味覚:味を感じる感覚
  • 嗅覚:匂いを感じる感覚
  • 触覚:体の表面で物の感触を感じる感覚
  • 前庭覚:体の傾きや回転を感じる感覚
  • 固有受容覚:体の動きや力の入れ具合を調整する感覚

感覚統合とはこういった様々な感覚を整理したりまとめたりする脳の機能のことを言います。

 

感覚統合がうまくいかないと?

基礎的な感覚を土台とした発達の段階は下の図のようにピラミッド式に積み重なって発展していくと考えられています。

この図のように土台となる聴覚や前庭覚(傾きや回転を感じる)などの基礎的な感覚が上手く発達すると、上の段階に発展していくということです。

こういった感覚は2歳~7歳で発達すると言われています。

では基礎的な感覚が発達していないとどうなるでしょうか。

 

この図のように前提覚(傾きや回転を感じる)や固有受容覚(体の動きや力を調整する)等の感覚に偏りがあるとその上に積み重なる機能に問題が出ることがあります。

その結果、日常生活のあらゆる場面で困りごとが発生していきます。

 

この困りごとの基を辿っていくと、基礎的な感覚の発達に問題が生じていることがあります。

例えば手先が不器用の方に対して手先を使う練習をしてみますが、いつまで経っても改善しません。

これは手先を使う以前の段階でつまずいてしまっているため、手先を使うトレーニングをすることで解決することができないのかもしれません。

そういったケースの場合は基礎的な感覚にアプローチしていくことから始める必要があります。

 

感覚の偏りとは?

感覚に偏りが出ると感覚が敏感になる、逆に感覚が鈍感になるというケースがあります。

例えば敏感だと

聴覚が敏感の場合だと普通の人が気にしないような音が気になる。

前庭覚(傾きや回転を感じる)が敏感な場合だと不安定な場所を異常に恐れたり、体を動かされることに強い不安を抱く。

触覚が敏感な場合だと水遊びや砂遊びを異常に嫌がる。

等の症状が出ることがあります。

反対に鈍感だと

前庭覚(傾きや回転を感じる)が鈍感な場合だとぐるぐる回っても目が回らない➡自らずっとぐるぐる回る、飛び跳ねて遊ぶ

固有受容覚(動きや力を調整する)が鈍感な場合だとそっと触るつもりが叩いてしまう、柔らかい物をつぶしてしまう➡体の感覚がつかめないことで自分の体をつねる・噛む等の行動がでる。

等の症状があります。

 

発達障害の方はこの感覚の偏りが発生する場合が多いと言われています。

また、感覚の偏りから生じる物事への感じ方、快・不快を周りから理解されないケースも多くあります。

そのため、周り人からすると一見理解できない行動に見えることが、実は当事者としては嫌な感覚を避けるための行動なのかもしれません。

 

支援にどう活かすか?

感覚の偏りがある場合、支援の現場ではその人の感じ方に配慮する必要があります。

聴覚が敏感な方の場合は騒がしく感じない環境を用意したり、触覚が敏感な方には嫌がる触感の物品は避けるなどです。

また、感覚が鈍い方の場合は感覚が感じられないことで、感覚を求める欲求行動が出ることがあります。

跳び跳ねたり、ぐるぐる回ったりするなどなど。

このような行動を止めはしないものの、このような行動に夢中になって他のことに気持ちが切り替えにくいことがあったり、場面を問わずにこういった立ち振る舞いをしてしまうことがあるので、場面に応じて適切な行動をとっていただけるような支援が必要な場合もあります。

このようにその人の感じ方に応じて配慮をしていく支援が望ましいと考えられます。

 

今回は感覚統合についての基本的なお話についてお伝えしました。

このような知識を積みながら多角的にご利用者様を捉えられるようにできると、より良い支援に結び付けていけるかなと思います。

最後に、今年お世話になりました関係各所の皆様に御礼申し上げます。

来年も引き続きよろしくお願いいたします。

現場からは以上です。