自閉症への理解
皆様、こんにちは。
あきる野市にあります生活介護笑スリーの佐藤です。
先日、娘(6歳)息子(4歳)の保育園で運動会があり参加してきました。
うちの娘は真面目気質で周囲に合わせて参加していましたが、息子は普段から気分屋なところがあり運動会開始時はご機嫌斜めの様子。
なんとか先生に連れられて参加はできるものの、不機嫌な顔をしています。
ただ、音楽に合わせて踊る種目になってからは踊りが楽しかったようで、途端に笑顔で踊り出していました。
どうなることかと思いましたが、本人なりに楽しく参加ができたようでなによりでした。
不機嫌の原因はどうやら運動会開始の直前にお気に召さないことがあったようで、それを引きずっていたようです。
イベントが得意な子、苦手な子
保育園には運動会の他にお遊戯会や歌の発表など、いろいろなイベントがあります。
そういったイベントを見ていると、元気いっぱいに楽しんでいる子が数多くいる一方で、不安そうな表情をしている子や泣き出してしまう子もいます。
見ている側としてはそういった姿も含めて可愛げがあるなと思えますが、もしかして本人たちからしたらとんでもない状況なのかもしれません。
保育園以外でも世の中には多様なイベントがあります。
こういったイベントを好まない性質はもしかしたら自閉症であることが原因かもしれません。
もちろん単純に緊張しているだけであったり人見知りだったりといったことが原因なこともあるので、可能性の一つとして考えられるということです。
自閉症の人はイベントが苦手?
1口に自閉症といっていも多様性があり、自閉症だからといって必ずしもイベントを楽しめないわけではありませんが、自閉症の方はイベント事を苦手とする傾向があります。
仮に自閉症が原因でイベント事が苦手な人はなぜ苦手と感じるのか、いくつかのポイントがあるので整理してみました。
①空気を読むことが苦手
自閉症の方はその場の雰囲気や人の表情を読み取ることが苦手な傾向があります。
具体的に何をしてほしいのか、どう思っているのかを示されていると理解できるのですが、そうでない場合は自分に何を求められているのか、相手がどう思っているのか等がわからないことがあるんですね。
そうすると普段は『こういう場面ではこうするのが正しい』と経験則で理解していることも、いつもと違うイベント事では何をするべきなのかを明確に示されておらず、どうしたらいいのかわからなくて混乱してしまいます。
②新しいこと、知らないことが苦手
自閉症の方は未知のこと、予測がつかないことが苦手な傾向があります。
これからどうなるのかわからない状況に対して非常に強いストレスを感じる方が多いようです。
①の『空気を読むことが苦手』なことも相まって、分からない状況に混乱することがしばしばあるようです。
さらに、これに関連する傾向として『いつもと同じようにすることを好む』といったものがあります。
『いつもと同じようにすることを好む』傾向があると、必然的に『新しいこと、知らないこと』は避けてしまいますよね。
イベント事では普段は目にしない人がいたり、いつもと違うものが置かれていたり、自分がすることがいつもと違うことを求められる等、いつもの環境とは大きく異なる点が多々あります。
そうするといつものリズムで過ごすことは難しく、日常とは違った立ち振る舞いが求められます。
そのため、『いつもと同じようにすることを好む』自閉症の方にとっては苦痛に感じるのかもしれません。
③ザワザワしているところ、人が多いところが苦手
自閉症の人の中には感覚の感じ方が人よりも鋭い方がいます。
聴覚が優れておりいろいろな音を拾ってしまう方もいれば、触覚が敏感で少し触れただけでも異常に反応してしまう方もいます。
こういった感覚の過敏性がある方にとっては、普通では感じない嫌な音、嫌な触感等に敏感なので不快になることが多いようです。
また、自閉症の人には情報の取捨選択が苦手な方も多く、不必要な情報を拾ってしまうことがあります。
大勢が集まる場所では人の多さや人の喋り声、人の動きなど全ての情報を一身に受けてしまいます。
そうすると頭の中がパンクしてしまい、混乱してしまったりパニックになってしまうこともあるようです。
他にも自閉症の人ならではの要因はあるかもしれませんが、大まかに分けてこの3つの要素が『自閉症の人がイベント事を苦手とする原因』に関わっているケースが多いように思います。
自閉症という障害への理解
このような自閉症の人ならではの物事の感じ方や捉え方があることで、イベント事以外の生活場面でも彼らは混乱したり困ってしまうことが数多くあります。
こういった状況に対して周囲の人たちは彼らがなぜうまく行動できないかと考える時に『頑固だから』とか『怠けているから』などと捉えてしまうことがあります。
そして、自閉症の人たちがどういった感じ方や捉え方をするのかについての理解は置き去りにされたままの支援になってしまうことが多いようです。
でも、自閉症の人からしてみれば『わからないからできない』『やりたいけどできない』『こわいからできない』といった理由があるかもしれません。
自閉症の人たちを理解してこういった誤解を減らしていき、その上で配慮できる部分があると彼らが困る場面が減っていくのではないでしょうか。
自閉症を知っている世の中に
昨今では『多様性』という言葉よく耳にするようになり、人それぞれ様々なバッグボーンやアイデンティティを持っていることを認め合う社会的な文化が根付きつつあるように思います。
こういった社会的文化は、最初は違和感がありながらも世代を交代しながら段々と認知が広がり、あって当然のものへと変化していくことは歴史的にも多く見られている現象です。
自閉症への正しい理解においても、社会的文化として多くの人が『ふつうに知っている』こととして広まることを願うと共に、微力ながら力添えをしていきたいと思います。
現場からは以上です。