重度知的障害のご利用者様にとっての自立とは?

皆様、こんにちは。

東京都あきる野市にあります生活介護笑スリーの佐藤です。

最近はローストビーフを作るのにハマっています。

どうしてもローストビーフを吐く程食べたい。

そんな時ありませんか?

でも、ローストビーフってお惣菜で買うと高いですよね。

じゃあ作った方が安上がりなんじゃねってことで調べてみると意外と簡単にできることがわかりました。

ローストビーフ用の肉を買ってきて、塩コショウを適当にまぶして、ジップロックにぶち込んで、低音調理機で55℃を3時間~3時間半にセットして放っておくだけ。

これで美味しいローストビーフが出来上がります。

低音調理機をお持ちの方、是非作ってみてください。

 

ご利用者様の自立とは?

話の流れとは全く関係がないですが、今回はご利用者様の自立について考えてみました。

一般的に自立というと家事能力や家計のやりくり等の日常の自活能力を思い浮かべますよね。

ここでいう自立は通ずるところはありますが、少し捉え方が異なってきます。

 

笑スリーでは知的重度で自閉症スペクトラム障害をお持ちの方を多く受け入れています。

こういったご利用者様が日常の自活能力を全てマスターするのは少しハードルが高い話になります。

ただ、障害がある故にできないと誤解され、周囲の人たちが必要以上に支援をしてしまうことで、もしかしたらご本人が持っている能力が発揮される機会が失われてしまっているかもしれません。

こういったご本人が持っている能力を最大限引き出し、できるところをやっていただく。

ここでいう自立とはこういった能力の最大発揮を意味しています。

 

自立のメリットとは?

では自立をすることでのメリットとはどういったところにあるでしょうか。


 

①自己肯定感アップ

自分で決めて自分で取り組むことで達成感を得ることができ、自己肯定感の向上が期待できます。

また、自立してできるんだという自信にも繋がるので、新たなスキルを獲得していく足掛かりにもなっていきます。

 


 

②他者の介入によるストレスを無くす

皆さんマイクロマネージメントとという言葉を聞いたことがありますか?

マイクロマネージメントとは上司が部下に対して事細かく指示を出し、全てを把握するようなマネージメントの方法を指します。

マイクロマネージメントを受けると、部下は上司からの過度な介入によりモチベーションの低下や本来の能力が発揮しにくくなる傾向があるそうです。

これと同じように、ご利用者様も支援者から事細かな介入を受けることによって、ストレスを感じることがあると思われます。

そのため、介入を受けずに自立した部分が増加することでストレスの減少に繋がると考えられます。

 


 

③生活の幅が広がる

自立してできることが増加することで、今まで参加できなかった社会活動への参加が期待できます。

例えば、出かけるときのハードルとしてありがちなものがいくつかあります。

公共機関を使うのは不安がある・・

待ち時間が苦手・・

飛び出してしまうかもしれない・・

等々。

こういった各場面で都度介入しなくては危険が発生することがあるかもしれません。

しかし、普段からシチュエーション毎に「この時はこうする」といった練習をしていくと、出かけるときにもその経験を活かして自立できる可能性があります。

 


このように自立した部分を増加させることには大きなメリットがあると言えそうです。

 

自立を促すには?

いざ自立をしてもらおう!と考えてもどのように取り組んでいけば良いか難しく思えるかもしれません。

ざっくりと大事なポイントがいくつかありますので、ご紹介していきます。


自閉スペクトラム症の方の中には、一度定着した習慣を上書きすることが難しい方もいらっしゃいます。

そういった方に対して新しいチャレンジをしていただくためには、環境を大きく変更して新しく学び直すことが有効な場合があります。

私たちも勉強をするときに自宅ではなかなか身が入らないけど、図書館に行くと集中できるなんてことありますよね。

とりわけ、自閉スペクトラム症の方の場合は「この場所ではこうする」といったように、場所と行動を結び付ける傾向が強いので、なにか新しいことをする時には新しい場所を用意すると良い場合があります。

そのため「環境を変えてみる」ことがキーワードの1つになります。

 


 

そしてもう1つ大切なポイントが少しずつスキルを積み上げていくことです。

私たちが普段何気なく行っていること

例えば

  • 自分の衣類を準備する  
  • 入浴をする  
  • スケジュール通り行動する 

等の行動は様々なスキルが備わっているため、容易く行うことができると考えられます。

要素としては

  • 必要な準備をする段取り
  • 状況に応じた柔軟な判断力
  • 手先の細かい動作

などのたくさんのスキルが内包されています。

 

これらのスキルをご利用者様がお持ちなのか、お持ちでないとしたら学習をしていけるのか、学習する時はどのようなステップで学習していくかを整理します。

その上で必要なスキルを細かく1つ1つ学んでいただくことが望ましいです。

このように「その方の能力を把握した上で、その方に合ったステップを刻んで学んでいただく」ことも大事なポイントになります。

 


 

最後のポイントとしては「今その方にとってどんなスキルが優先的に必要なのか」を整理することです。

これは私たち支援者目線のみならず、ご本人やご家族の意向、ご本人の生活上の課題点などを踏まえて考えていくことが望ましいです。

優先度を考えるときには単純に必要性だけではなく、ご本人が習得できそうか、ご本人が意欲的に学ぶことができるか等も加味して考えていけると良いです。

というのも、やはりできなさそうなことや意欲がもてないことに取り組むことは難しいものです。

そのため、できそうなこと、意欲が持てることに対して取り組んでいただけると効果的です。

 


 

以上の

「環境を変えてみる」

「その方の能力を把握した上で、その方に合ったステップを刻んで学んでいただく」

「今その方にとってどんなスキルが優先的に必要なのか」

この3つのポイントを踏まえていけると良いと思います。

 

支援員は中立的な視点を持つ

今回は自立をテーマにしてみました。

ご利用者様の支援を考えるときには自立という概念は欠かせないものです。

そして、我々支援員は毎日関わるご利用者様の自立を考える際、時に視点が近づきすぎてしまうことがあります。

毎日関わるが故にご利用者様との心理的距離感が縮まってしまうんですね。

ご利用者様を思いやる気持ちは何も悪い事ではありませんが、距離感が縮まることでご利用者様に対して中立性が失われてしまうことがあります。

個人的には中立性を失うと、ご利用者様の支援を考えるときにバランスを崩してしまうような気がしていますので、あくまで支援者とご利用者様というそれぞれの立場を意識して支援をすることを心がけています。

現場からは以上です。

 

笑スリーにご興味を持たれた方は是非見学にいらしてみてください。

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