笑スリーの支援を紹介します

皆様こんにちは。

東京都あきる野市にあります生活介護笑スリーの佐藤です。

先日、息子(4歳)の保育参観がありました。

息子が通う保育園の参観では「いつも通りの自然な姿を家族にみてほしい」という配慮から、親は教室の隅っこに設置してある衝立に隠れて、こっそりと子どもの過ごし方を見学する方法をとっています。

おかげで自分の存在はバレずに、保育園でのいつもの様子を見ることができました。

そんな姿を見ながら親に見せる顔と保育園での顔は少し違うものだな、これも成長したってことだなとしみじみしました。

また、先生からは息子の良いところや課題と感じていることをお伝えいただき、息子のことをよく理解してくださり工夫して保育をしてくださっていることがよくわかりました。

これまで保育園に対して不安があったわけではありませんが、こういったお話をいただくとより安心してわが子を保育園へ預けることができるなと思いました。

 

保育園参観してみて「うちの事業所の親御さんもお子さんが生活介護でどんな風に過ごしているか気になるだろうな」「お子さんについてどこまで理解してくれているのか不安に感じているかな」と考えました。

契約されているご利用者様のご家族様については、日々変わったことがあったり相談事があればご家族様にお伝えしており、定期的にご家族様との面談機会を設けて支援内容の共有やご要望の聞き取り等は行っています。

ただ、まだ利用契約を結ばれてない体験ご利用者様のご家族様、これから体験を申し込もうと思われているご家族様については、どんな支援がどんな流れで行われているのか不透明なところがあるかと思います。

また、笑スリーは重度知的障害者向けで自閉スペクトラム症の方の支援に力を入れています。

そのため、どのような支援が成されているのか想像がしにくい点があるかもしれません。

そこで今回はこの場を借りて、現在契約されているご利用者様へどういった支援を行っているのか具体的にお伝えしていきます。

ご家族様以外でもSHIPの生活介護でどんな支援を行っているのか、興味を持たれた方にも是非ご覧いただければと思います。

 

待てないご利用者様に対して

現在、笑スリーに通所されているご利用者様の中に待機することがとても苦手なご利用者様がいらっしゃいます。

数秒から数十秒のちょっとした隙間時間でも、何もせずに過ごすことが苦手な方で、そういった時間があると大き目の声を上げたり自傷や他害が出てしまう方です。

現時点では契約ご利用者様が少数なので「待機が出来ない」ことが大きな課題になっているわけではありませんが、段々と通所されるご利用者様が増加すると周囲と折り合いを付けなければならない場面が増加していきます。

また、生活介護以外の場面で待機時間が発生した時に折り合いを付けるスキルがないことで、ご本人にとって生きにくさに繋がると思われます。

そこで、この方に対して待機するスキルを磨いていただくことをテーマにして支援をしていくことにしました。

 

なんで待つのが苦手なのか?

最初に始めたことは「なんで待つことが苦手なのか」を理解することです。

ご本人にとってどんな理由があるのかがわかれば、対策が打ちやすくなるかもしれません。

そこでご本人の様子を見ていく中でわかってきたことがいくつかあります。

 


①やることをどんどんこなしていく傾向がある

自立課題の時間の様子をみていると、スピーディに次へ次へとこなされていました。

やることを示されるとやり切る集中力、早く終わらせたい少しせっかちなところがあるようです。


②なにをするのかわからないといやだ

一方で何をする時間なのかがはっきりしないとイライラする様子がありました。

決められていることをこなすことが得意な一方で、反対に決められていない自由時間には不安を感じるようです。


 

こんな傾向があることがわかりました。

こういった傾向を踏まえた上で、ご本人が過ごしやすい待機時間の提案をどのようにしていくか考えました。

その結果…

  • 待機時間が発生する時は待機時間であることをきちんと伝えてみよう。
  • 待機時間がどのくらいで終わるのかを伝えよう。
  • 待機時間が終わったら次に何をしてほしいのか伝えよう。

ということになりました。

この方は喋り言葉よりも目で見たことへの理解力が高いので、いずれも目で見える形で伝えていくようにします。

 

具体的にどうしていくか

ご本人の傾向を踏まえてどのように待機を伝えていくのかについて大枠は整いました。

では具体的にどのようにしていくのか。

今回はタイマーを使ってみることにしました。

なぜタイマーにしたかというと、タイマーには数字が表示されていて「あとどのくらいで終わるか」がわかりやすくなっています。

この方はひらがなや数字への理解がある方でしたので、減っていく数字を見て終わりに近づいていることを理解する能力をお持ちでした。

そのため、タイマーの数字を見て「どのくらいで終わるのか」が把握できます。

加えて、タイマーは数字が0んあると「ピピピッ」と終わったことを告げる音がなります。

こういった機能が「ご本人に合ってそうだな」ということ、タイマーが使えるようになると「色んな場面で応用できることに期待ができる」等の理由からタイマーの使用を試してみようということになりました。

 


次に現在使用している一日の予定一覧表にタイマーを使用する時間を追加しました。

このように、活動の合間の待機時間にタイマーを使用する予定を追加しました。

作業➤散歩

だったものが

作業➤タイマー➤散歩

となっています。

 

具体的な待機場面の流れとしては

①タイマーの時間になったらタイマーをセットして渡します。

②タイマーが鳴ったらタイマーを回収します。

③そして、予定表に沿って次の活動に移行することを促していきます。

このように設定をしました。

 


タイマーを使用することで

「待機時間がどのくらいで終わるのかを伝えよう」

目で見える予定表にタイマーの時間を加えることで

②「待機時間が発生する時は待機時間であることをきちんと伝えよう」

予定表で1日の流れを示すことで

③「待機時間が終わったら次に何をしてほしいのか伝えよう」

この3つの条件を満たすことができました。

注意点としてはタイマーの設定時間は最初から長時間にしてしまうと、負担が大きくなることが予想されましたので、最初は10秒から始めて段々と時間を伸ばしていくことにしました。

 

やってみてどうだったか

実際に試してみてどうったかと言うと…

思っていた以上にタイマーを使用して待機時間を過ごすことができていました。

 

  • 待機時間が発生する時は待機時間であることをきちんと伝えてみよう。
  • 待機時間がどのくらいで終わるのかを伝えよう。
  • 待機時間が終わったら次に何をしてほしいのか伝えよう。

ご本人のご様子からこの3つのポイントを導き出し、上手く伝えることができたことで上手くいったようです。

 

その後、タイマーの練習を1ヵ月弱続けて今では1分~2分程度は待機することができるようになりました。

タイマーを使い始める前には数秒から数十秒の待機も難しかったことを考えると大きな進歩です。

こういった経過を見ていくとご本人の学習能力の高さがあったからこそ上手くいったと言えそうです。

「この時間はこうすればいいのね」とすぐに理解されたご本人の理解力、一度理解すると時間が伸びても対応できる応用力、こういった能力をご本人がお持ちだったからこそ上手くいった支援です。

 

こういった支援を通してご利用者様の成長のお手伝いができる、更には獲得したスキルを活かしてご本人が生きやすくなることに繋がることは支援員としてはうれしく思います。

 


今回は実際に笑スリーで行っている支援についてご紹介してみました。

紹介した内容はほんの一例で、ご利用者様によって得意なことや苦手なこと、今一番必要なスキル等は変わってきます。

また、ご家族様からもお子さんに「こういう支援をしてほしい」というご要望もあるかと思います。

そういったご家族様のご要望を踏まえた上で、我々がご本人にとって必要だと思われる支援の提案をさせていただき、擦り合わせをしながらどのような方針で支援をしていくかを決めていきます。

要望に100%お答えすることは正直難しいこともありますが、できる範囲でご本人様・ご家族様の要望に沿った支援を心がけています。

 

SHIPの生活介護の支援に興味をお持ちいただけましたら、是非見学にいらしてください。

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