自閉症のコミュニケーションの話
皆様、こんにちは。
あきる野市にあります生活介護笑スリーの佐藤です。
皆様、お雑煮は好きですか?私は大好きです。
今年もお雑煮の季節がやってきます。
先日、職場でお雑煮に春菊を入れるといったら「そんなものは入れない派」が多数を占め自分がマイノリティであることを思い知らされました。
調べてみるとお雑煮は地域ごとに様々な様式があるようでした。
佐藤家では代々お雑煮には春菊を入れる習わしになっていますが、皆様のご家庭ではどうでしょうか?
春菊を入れたことがない方がいらっしゃいましたら是非一度ご賞味ください。
お雑煮の話はさておき、今回は自閉症のコミュニケーションについてのお話をしてみたいと思います。
自閉症の特徴
自閉症の人が持つざっくりとした主な特性が以下の3つになります。
- コミュニケーションが苦手で対人関係がうまく形成できない
- 強いこだわりや限定的で狭い興味関心をもつ
- 感覚の過敏/鈍麻
人によって強弱がありますがこのような特性があります。
今回はこのうちの「コミュニケーションが苦手」という部分をテーマにしていきます。
自閉症の人のコミュニケーションの傾向
自閉症の人が他人とコミュニケーションを取る時に見られる傾向がいくつかありますのでご紹介します。
- 視線が合わない
- 一方的に話をする
- 自分が話し出すタイミングがわからない
- 表情の変化がない
- 抑揚がない
- 曖昧な質問には答えられない
- 思ったことをそのまま口にする
- 相手の表情/感情を読み取れない
- 場の空気を読み取ることができない➡TPOに合わせた行動がとれない
こういった傾向がみられます。
本人に悪気はないので自覚なく人と関わるのですが、周りの人からすると一見、身勝手で関わりにくい印象を持たれることがあるので、人間関係の形成の難しさにつながります。
本人はなぜ人との関わりが上手くいかないのかわからなかったり、自覚したとしても機能的に難しい部分なので気を付けてすぐに改善できるようなものでありません。
結果的に人に避けられてうまく関われないことで気持ちが傷付いたり、孤独感を感じるようになってしまいます。
言葉を話すご利用者様
笑スリーでは現在体験ご利用者様の受け入れしており、オープンから約半年程経過しています。
この半年間で体験にいらっしゃるご利用者様は皆様、個性的でとてもユニークな方々でした。
私はそんな独特でユニークなご利用者様の『我が道を行く』って感じがとても好きです。
そんなご利用者様たちの中には流暢に言葉を使って話をする方もいらっしゃいました。
実は私が以前在籍していた法人内の生活介護笑プラスでは喋り言葉を使うご利用者様はほとんどいなかったので、話言葉を頻繁に使用されるご利用者様への対応経験はあまりありませんでした。
冒頭にお伝えしたように自閉症の人には独特なコミュニケーションの傾向があることは知識としては持っていましたが、実際に支援の現場で対応する経験はあまりなかったんです。
そのため、笑スリーで喋り言葉を使用するご利用者様の対応をすることが、とてもいい経験になり新鮮な感覚でもありました。
言葉の難しさ
言葉を話せるご利用者様と会話をしているとなんとなく会話が成立しているように見えますが、実はお互いに誤解が生じている場面が多いことがありました。
私の質問とご利用者様の返答が微妙に噛み合ってなかったり、伝わったかなと思ってみているとご利用者様が全然違う行動をとっていたりなどです。
やり取りをきちんと成立させるためにはいくつかポイントがあります。
- 具体的な表現をする
- ご利用者様の理解している単語を使用する
- ご利用者様の能力に応じて言葉の数は調整する(「○○を××して△△します」のような3つの言葉の連続は長すぎることがある)
- 目で見える形で示す
- 質問する時は抽象的な表現は避け選択してもらうようにする(「調子どうですか?」ではなく「痛いところはありますか?ありませんか?」等)
こういったポイントを意識して対応をしていくのですが、相手が喋っているとついつい無意識に喋り言葉で返答してしまうことがありました。
このように効果的な支援方法を知識としてわかっていても、実際に行動に移していくのには支援をしながら練習を積んでいく必要があると思い知らされました。
貴重な支援の経験
私たち支援者はご利用者様を支援することが仕事ですが、支援をしていくと同時に支援を経験させてもらっていることを改めて感じました。
これまでは毎日、同じご利用者様を支援していく中でその方への理解度が高まっていき、段階に応じた対応を考えていくじっくりと熟成していくような支援をしていましたが、現在は初めてお会いするご利用者様の傾向を短期間で読み取り支援方法を即座に考えていく餅つき的な支援をしているような感覚です。
たくさんの体験ご利用者様との出会いがあり、貴重な経験をさせていただいています。
うまく支援ができずにご利用者様やご家族様を不安にさせてしまうことがないように、得た経験を糧に支援スキルを磨いていきたいと思います。
現場からは以上です。